猫には自律神経失調症という病名はないですが、ほぼこれに近い「自律神経障害」という病気があります。
どのような症状で、何が原因で発症するのか、ご自宅の猫ちゃんに当てはまるものはないか確認してみましょう。
自律神経失調症、猫にもあるの?
症状
そもそも「自律神経障害」とは何でしょうか?
まずは症状から見ていきましょう。当てはまる項目が多い場合は病院に連れて行ってあげてくださいね。
・元気がない
・体重減少、食欲不振
・嘔吐、吐出
・便秘、下痢
・おしっこの回数や量が減る
・鼻や口腔内がずっと乾いたまま
・心拍数の低下や鼓動が弱まる
・瞬膜の異常(まぶたと目の間にある薄い膜が戻らなかったり、飛び出てきたりする)
・光の影響がない時に両目の瞳孔が開く、開いたままになる
・食道〜腸までの間で不全が起こっている
・おもらし(尿、糞)
自律神経障害は、人間で言うところの自律神経失調症と近いところがあります。そもそも自律神経とは意識しない運動(呼吸や消化、筋肉の収縮など)を司っているため、上記のような症状が発生してきます。
診断方法
この病気の診断はなかなか難しく、いくつもの検査を受ける必要があります。
・尿検査
・レントゲン
・血液検査
・超音波検査
・涙量測定検査
・瞳孔の反応検査(目薬)
これらをはじめとした検査結果や持病の影響、猫ちゃんの様子を踏まえて総合的に判断されます。
原因と予防法
この病気、残念ながら原因や予防法は解明されていません。発症は3歳未満に多いと言われていますが、なぜ若い猫に多いのかもわからない、という状況です。
更に治療法も確立されておらず、猫ちゃんと飼い主さんの負担を和らげるような対処療法が中心となります。また、猫ちゃんの活動がかなり鈍化するため、頻繁なブラッシングやお腹のマッサージ、強制給餌、輸血など介護の必要が出てきます。飼い主さん、獣医さんの懸命な治療でも25%の猫ちゃんは命を落としてしまうというデータがアメリカで出ています。完治できる猫ちゃんはかなり少なく、治療には年単位での時間も必要となります。
もしなってしまったら?
まずは何よりも、早急に猫ちゃんの異常に気づいてあげることです。緩和治療を早く始めることが、猫ちゃんの苦痛の軽減、症状の悪化の予防となります。気付くのが遅いと、合併症を発症してしまっており手の付けようがない、、、という事態を招く恐れもあります。
お仕事で日中はお留守番!という家庭では介護のためにペットシッターの手配も必要になります。運動能力が下がるため猫的バリアフリーな環境も用意してあげましょう。
季節の変わり目、自身の自律神経が乱れているなと思ったのがきっかけで猫にもあるのかな?と色々な論文を調べました。人間は自分の不調を伝え、対処法が沢山あるため命に関わるレベルになる方は少ないですが、猫にとっては命取りの病気なんですね。
どれくらいの確率で猫ちゃんがこの病にかかるのかはっきりとは分かっていませんが、データの少なさから鑑みると発症率が高い病ではない、または、飼い主さんも気づけないくらいの軽症で済むケースが多いという推測もできます。(きっとそうであってほしい)