「うちの子、言葉がわかってるみたい!」
犬と暮らしていると、そんな瞬間に出会うことは多いものです。名前を呼ぶと駆け寄ってきたり、「散歩」と言うと尻尾を振ったり。実際に犬は、人間の言葉をどのように理解しているのでしょうか?
近年の研究では、犬の脳が人間の言葉や声のトーンを識別できることが明らかになってきました。
本記事では、科学でわかる犬の心と言葉の理解の仕組みについて解説します。
犬は人間の言葉を理解できるのか?
結論から言うと、犬は「人間の言葉そのものを理解しているわけではない」が、「音と意味を結びつけて学習できる」ことが分かっています。
・音(言葉の響き) を認識
・イントネーション(声のトーン) を読み取る
・状況(文脈や行動) と結びつけて理解
つまり、「おすわり」「待て」といった言葉は、ただの音ではなく「ある行動をとる合図」として学習しているのです。
科学で証明された犬の言語理解
ハンガリーの研究チーム(ブダペスト大学)は、犬にMRIを使って脳の反応を調べる実験を行いました。その結果…
左脳:言葉の意味(馴染みのある単語)に反応
右脳:声のトーンや抑揚に反応
人間が言語を処理するのと同じように、犬の脳も「意味」と「音」を別々に処理していることが確認されました。
つまり犬は、「散歩」という単語の音だけでなく、「散歩!」と嬉しそうに言うか、「散歩…」と冷めた声で言うかによっても、理解の仕方を変えているのです。
犬は何語まで理解できる?
個体差はありますが、研究によると平均して100語以上を理解できる犬も少なくありません。特に知能が高い犬種は、200語以上を覚えた例もあります。
ただし、単語をそのまま「日本語=意味」と理解しているのではなく、音と状況をセットで学習している点がポイントです。
例えば…
「散歩」=リードをつけて外に出る楽しい時間
「ごはん」=フードボウルに食事が入る
「おやつ」=褒められながら美味しいものがもらえる
犬にとっては言葉が「記号」になっているのです。
犬が人間の言葉を理解する3つの要素
1. 声のトーン
犬は人間の言葉を完全に理解できなくても、声の高さや抑揚から感情を読み取ります。高い声=嬉しい、低い声=怒っている、と感じやすいのです。
2. 表情やジェスチャー
犬は飼い主の顔の動きや手の動作もよく見ています。言葉と一緒にジェスチャーを添えることで理解度が高まります。
3. 繰り返しの経験
同じ状況で同じ言葉を使うことで、「この音=この出来事」と覚えます。バラバラに使うと混乱するため、一貫性が大切です。
犬の気持ちをもっと理解するために
犬が言葉を理解するのは「音」だけでなく「気持ち」も含めて受け取っているからです。
・名前を呼ぶと安心するのは、信頼のサイン
・褒め言葉に反応するのは、声のトーンから気持ちを感じ取っている
・怒鳴ると萎縮するのは、言葉よりも感情を敏感に察知している
言葉を教える時は、ただ命令するのではなく、優しい声・笑顔・褒める行動をセットにすることが重要です。
まとめ
犬は人間の言葉を「そのまま翻訳」して理解しているわけではありません。しかし、音・トーン・状況を組み合わせて、意味を学習する能力を持っています。
・犬の脳は人間と同じく左右で役割分担をしている
・100語以上の単語を覚える犬もいる
・声のトーンやジェスチャーが理解を助ける
「犬 人間の言葉 理解」というテーマは、単なる好奇心ではなく、愛犬との信頼関係を深めるヒントにもつながります。毎日の会話を通じて、犬はあなたの気持ちを少しずつ理解しているのです。