平均寿命は15年~20年と言われますが、その期間、愛犬の健康を守れるのは飼い主さんの愛とまなざしに尽きると思います。一緒に遊ぶ、ブラッシングなどのお手入れをする、排泄の世話など日頃生活する中で異変は発見できると思います。元気がない・食欲が落ちている・調子が悪そう・散歩時の歩き方や歩く速さなどどんな小さな事でも日々日記の様に記録しておくと良いと思います。異常を感知するカンはその愛犬を愛する家族だけが発揮できるものです。大切な愛犬の健康状態には常に気を配りましょう。病気の治療は獣医師の指示を仰ぐことが前提ですがその後の回復期においても飼い主さんの愛情に勝るものはありません。
シニア犬がかかりやすい病気
- がん(悪性腫瘍)
遺伝子が加齢や紫外線、化学物質などによって傷つき細胞が無秩序に繁殖したものを腫瘍といいます。中でも周囲の組織を破壊したり肺やリンパ節などに転移する性質の強い腫瘍を“がん(悪性腫瘍)”と言います。症状・治療法・病気の進行はがんの種類やワンコの状態によって異なります。どんながんでも治療が手遅れにならないように早期発見が極めて重要。人間と同じですね。家庭で発見しやすいのは、皮膚・乳腺・口や肛門周囲など身体の表面に見られるがんです。日頃から愛犬と触れ合う様にしてしこりや皮膚の組織変化などチェックする習慣をつけておくといいかと思います。
*チェックポイント
□皮膚・乳腺・口や肛門周囲にしこりがある
□傷や皮膚のただれが長い間治らない
□血液がヨダレや便、尿に混ざる
□鼻血がでやすい
しこりに気づいたら獣医さんに相談を…。悪性腫瘍でもしこりが小さい場合は取り除き完治が期待出来るケースもあります。“これくらいのイボなら大丈夫”と放置せず早期に相談しましょう。
- 歯周病
歯に付着した食べかすに菌が増殖し歯垢が付着すると歯肉に炎症がおこります。進行すると歯と歯茎の間に歯垢が入り込み、歯周ポケットが広がります。更には歯を支えている顎の骨が溶け、歯がぐらつき、抜けてしまったり、わずかな負担でも顎が骨折を起こしやすくなったりします。歯周病が腎臓や心臓の病気を引き起こしたり悪化させる可能性があることも指摘されています。歯周病の予防と治療は愛犬の生活の質に欠かせません。我が家の愛犬は8歳の時に全身麻酔で歯石・歯周ポケットの洗浄をおこないましたが、1年足らずですぐに歯石はつきますので日々のケアを大切に。
*チェックポイント
□歯に歯垢や歯石が付着し、口臭がする
□ヨダレが多くなった、血液がヨダレに混じっている
□歯茎から膿が出ている
□フードが食べずらそうだったり口からこぼれ落ちることがある
□歯がグラグラしている
□歯がぬけた
□口に触られるのを嫌がる又は痛がるそぶりをみせる
□眼の下など顔の皮膚から膿がでている
・3歳以上の犬のおよそ80%は歯周病と言われています。
- 関節の病気(変形性関節症)
シニア犬では、体重のかかりやすい関節に変形性関節症が生じやすくなります。変形性関節症は、関節を覆う軟骨がすり減ってうまくはたらかなくなり、関節に炎症が起こった状態です。変形性関節症では痛みの適切な管理と見直しが重要になります。関節の痛みを和らげるため、鎮痛薬が処方されることがあります。鎮痛薬は症状の改善がみられても自己判断で中断せず、獣医師の指示通りに確実に投与しましょう。また患部への負担軽減のため、ダイエット(体重管理)や床を滑りにくくするなどの工夫、生活の見直しが必要です。健康な関節を維持し変形性関節症の進行を防ぐため、軟骨成分を含んだサプリメントが推奨されることもあるそうです。
*チェックポイント*
□歩行時に足を引きずっている
□散歩や階段の上り下りなどを嫌がる(できなくなる)
□立ち上がりにくそうにしている
□寝ている時間が多くなった
□遊びたがらなくなった
- 心臓の病気(僧帽弁閉鎖不全症)
シニア犬では僧帽弁(そうぼうべん)閉鎖不全症などの心臓の病気が増えてくる傾向があります。僧帽弁閉鎖不全症は、心臓の左心房と左心室をつなぐ弁(僧帽弁)が変形しきちんと閉じなくなり、血液が逆流する結果、心不全に至る病気とされています。進行すると心臓が肥大し気管支が圧迫されたり肺のうっ血をきたすそうです。症状の改善がみられても、投薬は獣医師の指示通りに確実に投与することが重要とされています。
*チェックポイント*
□少し動いただけで苦しそうにハアハアしている
□運動を嫌がるようになった
□興奮時や運動時、明け方にコンコンと響くような軽い咳をする
□運動時などに、ゼーゼーと苦しげな激しい咳をする
□舌の粘膜の色が青っぽく見える
- 泌尿器の病気(腎不全・膀胱炎)
腎不全…腎臓は血液をろ過して老廃物を排泄する尿をつくる他には、骨の代謝、体液の平衡状態の保持、赤血球をつくりだすホルモンを産生するなど、重要な役割を果たしています。腎不全が進行すると老廃物の排泄が上手くできなくなるので身体に尿素が溜まったり(尿毒症)、赤血球が減少して貧血が現れる事があります。
*チェックポイント*
□よく水を飲み、尿の量が増えてきた
□突然、尿の量が減り、色が濃くなった
□吐く息が臭い
膀胱炎…犬に多い膀胱炎は、細菌が尿道から膀胱に達し祖増殖して炎症が起きたものとの事。細菌の増殖を抑える抗菌剤が処方されます。確実に投与しないと細菌の増殖が抑えられなかったり耐性菌が増えてしまう恐れがあるため、獣医師の指示通り確実に投与することが必要です。
*チェックポイント*
□尿に血液が混ざる
□排尿時に痛がる様子を示す
まとめ
壮年期も後半になると内臓機能が低下したり免疫力が下がるため病気にかかりやすくなります。また、病気に対しての治療が長期に渡ることが多くあります。また、処方されたお薬は獣医さんの指示の下、決められた量・時間・回数を守って与えましょう。お薬が与えづらい場合は獣医さんへ相談する事もオススメです。
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